無芸褪色(仮)

BLOCKBLOGからの流浪の民です。なんてこったい。

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2010/10/20

ロストテクノロジーは案外身近に地味にあるものだ [日記]

小学生のころそろばん教室に通わされていた。たしか3級まで取ったはずで、あと一つ上の2級は職業で使用することが認められている実用的な資格だったはずである。逆に言うとその2級と3級の間には越えられない壁、とまではいかないが他の級の間とは明らかに異なった距離で隔てられていて、それで自分は3級どまりだったんだろう。2級はプロ仕様なのである。
まあそろばんを実用に供する時代じゃなくなっていたから、新しく進級したひとで実際現場で使う人はいなかったと思うけど。
通っている最中と辞めてしばらくは脳内の珠でガンガン暗算できたんだがあれは怠るとすぐに忘れるらしい。もう全然だめである。せいぜいスーパーやコンビニでおつりのコイン枚数を少なくするためにとっさに計算するくらいなものだ。やるよね、おつりを555円にしてコイン三枚だけにするとかそういう遊び。その遊びもお財布ケータイやプリチャージカードなんかで出番が少なくなってきたり。

そろばんは右手操作で習う。親指と人差し指で珠を弾き、その計算結果を即座に筆記するための鉛筆を右手の中指から外側3本の指に軽く握りこんでいる。このスタイルはかなり強く叩き込まれるので、しばらくするとこの鉛筆がないと手の握りがスカスカになってうまいこと珠を弾けなかったり、邪魔にならない程よい長さの鉛筆にこだわったりしたのだ。こんなちょっとしたこともそろばんを使う上での立派な技術なんだと思う。手がそれを覚えている。

そんな右手使いが基本とばかり思っていたそろばんなんだが、業種によってはそうでもないらしい。銀行員などは筆記作業をしながら同時に計算を行う必要があるので右手をそろばんに使えない。勢いそろばんは左手で使うもの、ということになり、かつて銀行ではの新入社員にまず左弾きの訓練を施したそうな。2級の人もまた一からやり直しなのだ。
これ、けっこうやりにくいやろなと思う。人差し指メインになる減算ならともかく、計算の基本の加算の場合、右手弾きだと桁の繰り上がりで
「人差し指で下位の桁を払う→親指で一つ左の上位の桁へ『伸ばし』、そこの珠をひとつ押し上げる」
なんだけど、これが左手だと
「人差し指で下位の桁を払う→親指で一つ左の上位の桁へ『巻き込み』、そこの珠をひとつ押し上げる」
になってしまうはず・・・やりにくいことこの上ない。親指を巻き込まないんだったら手首の運動量が大きくなって肩こりそう。などと心配したり。
でも商売に使われるプロ仕様なんだから、「左弾きの便利な運指」もしっかり研究されて体系化されていたに違いない。だいたい銀行だもの。いい加減な計算間違いが起こっては一大事の分野だけに、独特の進歩を遂げていたんじゃないかとふと妄想する。そろばんはシンプルな道具だし、工夫できることもちょっとしたことの積み重ねだったんだと思うけど立派な技術だったに違いない。
いまはこのそろばんも電卓に置き換わっている。だからもう左手そろばんを使う人がいなくなってこの技術も自然に忘れられていっているだろう。だれにも顧みられなくなった技術は忘れられていく一方でありロストテクノロジーのひとつとして過去のものになる。
技術の新陳代謝は身近でもごく普通に行われるんだなと改めて気づかされた次第。

ちなみに「計算は右手の筆記と平行し、左手で同時に行う」という技術は継承されているという。新人銀行員さんは入社後、左手で電卓を叩く訓練をうけるのだそうだ。なるほどねぇ。


ひといきに10までで55。
14まで足してはじめて3桁めにいって105。
24まで足してきっちり300。
36まで足してゾロ目666。

数字を1から順に足していくとこういう通過点がある。そろばん教室で、指慣らしによくやった計算である。もう忘れていると思ったが、右手にかるく鉛筆をにぎり、珠を弾く動作をやってみたら(シャドウボクシングならぬシャドウソロバン)みるみる思い出した。吸い込まれるようにきっちり300になったり、「おぉ?!666おひさしぶり!」とかまだ無駄にロストしていない技術だった。
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  1. 2010/10/20(水) 00:59:29|
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